仕事上で難解業務(対応方法が分からず解決困難な業務)に直面したらあなたならどの様に対応するでしょうか。定常業務であれば誰しもが慣れているものですが、非定常業務(突発業務)への対応は通常とは異なるアプローチが必要です。特に解決困難な非定常業務にどう対応するかで、あなたに対する周りの評価は変わってきます。
本稿では難解業務に対する取り組み方分析と対応方法のポイントを紹介します。
一般社員(現状維持タイプ)
まずは一般社員(現状維持タイプ)の難解業務への対応傾向です。
- <放置する>
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一番避けるべき対応です。社内で本人以外に問題を把握している人がいない場合、状況が悪化することもあり得ます。放置してしまうと進捗も何も進まないので、納期までの対応期間もどんどん短くなります。
誰かが問題を放置しているのを把握しているのであれば、直ぐに打開策を講じる必要があります。 - <誰かに振る(丸投げする)>
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自分では対応不可と判断し、周りの誰かに依頼してしまうケースです。仕事の分担は本来は上司が決めるものなので、確認なしに振ってしまうのは推奨出来ません。
本パターンは若手よりも中堅やベテランに多いです。現状維持志向なので、困難なチャレンジや新規業務は出来るだけ避ける傾向にあります。
- <対応手段を聞いてコピーする>
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自分では対応方法が分からないので、知っていそうな先輩や上司に対応手段を聞いて、教わったままに対応するケースです。本パターンでは手段をコピーする対応を取るため、目的や内容の理解が不十分となり、結果の品質が低かったりミスが多い傾向となります。
以上が一般社員(現状維持タイプ)の取り組み方分析です。
いずれも責任感が薄く、その場しのぎの最低限の対応となってしまっているため、アウトプットの品質も低くなりがちです。また、本人のやる気や向上心の低さが見受けられる場合、上司や周りも段々と仕事を任せづらくなり、評価も期待出来ないものとなってしまうでしょう。
嫌々仕事をする人には頼みづらいよね。
快く引き受けてくれる人にお願いしちゃうかな!
一般社員(上昇志向タイプ)
次に一般社員(上昇志向タイプ)の難解業務への対応傾向です。
- <目的重視で対応する>
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所謂パーパスドリブンで対応することが出来るかが成長や高評価のポイントになります。ビジネスではアウトプットが全てなので、経緯や手法に拘る必要は全くありません。常に目的を意識し、その達成のために柔軟に対応することが出来るかが重要です。
一般社員であれば知識やスキルが伴わないこともあるかと思いますが、パーパスドリブンで行動する社員は言動や資料にその奮闘が垣間見えますので、周りも教育に力を入れますし、次も仕事を任せようという気になります。
- <提案力がある>
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対応方法が分からない問題に直面した時、受け身でいるとどうしても「分からないので教えて下さい」と分かる人に聞いてしまうものですが、聞く前に一度立ち止まって分からないなりに自分で解決策を考えてみて下さい。
一般社員であれば上司も100%の答えは期待していません。間違っていたとしても、自分の力で仮説検討し提案することが出来るかが大事です。実際、どんな素晴らしいアイデアを持っていても言葉にしなければ意味はありません。
上司や周りもあなたの提案を聞くことで、現状の力量を理解し、より適切なアドバイスが出来ますし、何よりやる気を認めて進んで指南をしてくれることでしょう。
以上、上昇志向タイプは本人の高いモチベーションと適切な行動が特徴です。残念ながらやる気だけ高くても、パーパスドリブンや提案力が伴っていないと、順調な成長は期待出来ません。
良い上司や先輩等の指導役に恵まれるかも大事です。あなたの成長を期待する上司であれば、的確に目的を伝えると共に、例えば「あなたはどう対応するのが良いと思いますか?」と、あなたにも自ら考えさせる機会を与えながら指導をしてくれることでしょう。
部下が自信がなくても提案出来る様な、風通しの良い職場風土を作るのも上司や経営者の務めです。
主任
重要タスクも任せられる様になる主任の難解業務への対応傾向です。
- <横連携力がある>
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難解業務ともなると自分一人の力で質の高いアウトプットを生み出すのは難しい場合も多くあります。そんな時に関連する他部門や関係者を上手く巻き込み、アウトプットの質を上げることが出来るかがポイントです。
自分一人の知識やスキルに拘らず、周りを巻き込むことが出来れば潜在能力は無限に広がります。そのためには、普段から協業可能な人脈構成やキーパーソンの把握をしておくことも重要な能力の一つです。横連携力によるアウトプットの品質向上を目指しましょう。
- <先読力がある>
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課題やタスクは表面上の解決や対応をするだけでは十分とは言えません。レポートの過程で出てくるであろう疑問や追加要望を先読みし、予め資料や回答を準備しておくことが出来るかも肝要です。
人の評価は概ね期待値を超えているかどうかで決まるものです。最低限の対応により必ず出てくるであろう疑問の説明が何もなければ受けてはがっかりしますし、予め必要十分な補足説明の付随があれば期待を超える高評価となるでしょう。
以上、主任になれば難解業務をただ解決するだけでなく、横連携や先読により付加価値を付けて、質の高いアウトプットを生み出すことが必要です。その実績の積み重ねにより周りの高評価と信頼を勝ち取り、より高難易度・広権限の仕事を任せられることになります。結果、いち早い成長が期待出来るでしょう。
主任には実務と業務推進のリーダーとしての役目を期待しています。
課長
最後に管理職として一部門を統括する課長の難解業務への対応傾向です。
- <広分野の対応力がある>
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主任はすでに担当分野においてはエキスパートであるはずなので、課長との違いはその担当分野の広さにあります。課長は担当部門全般の業務を責任を持って対応する必要がありますので、広い知識と応用力が肝要です。
- <費用対効果を管理できる>
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課長は担当部門の予算管理をする責任がありますので、費用対効果を管理出来なければいけません。難解業務への対応策も膨大なコストが掛かれば実行不可能です。いかにコストを極小化し、アウトプットを最大化するかを検討・実現するのも課長の役目となります。
- <自主自立している>
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課長ともなれば時には上司(部長級以上)の指示や相談を仰がずに自主自立した行動も必要です。会社や組織としての目的・課題を的確に理解し、難解業務への対応についてもそれに沿った行動をすることが出来ます。
上司には対応完了後に報告として上げることになりますが、上司も課長を信頼しているからこそ途中経過を確認せずに任せることが出来ます。ただ、報連相の要否はビジネスへの影響度によりますので、そのレベル判断については注意が必要です。
以上が課長としての難解業務への対応の特徴です。主任以下の様な担当業務への対応のみならず、会社や組織全体への影響を鑑みた視野の広い行動が肝要になります。
難解業務への対応方法
ここまで職務レベル別に難解業務への対応傾向を紹介しました。まずはあなたに当て嵌まる対応傾向がどれになるか、少し時間を取って考えてみて欲しいと思います。
対応方法のポイントは記載した一般社員(現状維持タイプ)以外の傾向がそのままノウハウとなります。概ね職務レベルに応じた難易度となっていますので、出来ていないポイントについては一つずつ意識しながら対応することで、必ずやあなたの成長と高評価に繋がることでしょう。
例えあなたが一般社員だからといって、上位職務レベルの対応をとってはいけないことは全くありません。むしろ上位の対応をとることが同僚から頭一つ抜け、高評価といち早い昇進の助けとなるはずです。ただ、初めの内は上司から自立した対応を任されるまで、報連相は細やかに実施する様にしましょう。
本稿の知識も読んだだけでは身につかないものです。知識は実践を繰り返して習得出来るものなので、参考になるポイントがあればぜひメモして、普段の業務から繰り返し実践する様にお願いします。
難解業務への対応についても役立つロジカルシンキングは下記の記事で紹介しています。