収入最大化とは出来るだけ早くかつ多く年収を上げることになりますが、年収はどの様に決まるのでしょうか。勿論サラリーマンであれば会社が決めるのですが、給与設定には概ね決まった法則があります。この法則を上手く活用すれば、効率的に年収アップを目指すことも可能です。
本稿では年収の決まり方と年収アップのポイントについて紹介します。
年収の決まり方
一般的企業の年収は『給与バンド』によって決まります。給与バンドとは従業員のポジションによってレベルを設定し、レベル毎に最低賃金と最高賃金を設定する方法です。
▼給与バンド例(月額給与)
レベル内の給与額は毎年の査定によって「昇給」しますが、最高賃金が設定されているため最高値に到達すると頭打ちとなります。「昇格」すると次のレベルに上がり、また最高値まで昇給幅が生まれます。
昇格には昇格条件・試験・面接等がある会社もあれば、特に試験の実施なく昇格出来る会社もあります。一般的にはレベル毎に役職が定められており、上記例であれば「レベル8:主任」、「レベル7:係長」といった具合で役職が上がっていきます。
日系企業であればレベル毎に年齢や勤続年数を一つの条件としている会社も多く、一定の年齢にならないと昇格出来ない制約となっています。最近は実力主義を謳う会社も増えてきており、公式的には年齢を要件から外していますが、実運用上は考慮に入れている会社が多いのが実態かと思います。
通常は新入社員は最低レベルから始まることになり、経験・能力・業務内容に合わせて昇給・昇格していくことにより、年収は決まっていきます。
給与バンドはインフレや最低賃金改定に合わせて給与水準を見直すため、一定期間毎に改定します。
給与バンドの設定
給与バンドは会社毎に独自で設定されますので、給与水準が高い会社もあれば低い会社もあります。つまり、給与バンドの高い会社に就職すれば、平均的ペースでの昇給・昇格だったとしても、他社よりも年収が早く高くなると言えます。
逆に就職している会社の給与バンドが残念ながら低くなっているのであれば、どんなに頑張って昇給・昇格しても中々年収は上がらないということです。部長職以上でも年収1,000万に届かない給与バンド設定をしている会社も珍しくありません。そういった会社で年収1,000万以上を目指して頑張っても、理論上は到達不可能ということです。
就職活動がこれから、もしくは転職を考えているという方は、給与バンドを意識した企業研究をすることで効率的年収アップを目指すことが出来ます。すでに在職中であれば、ぜひあなたの会社の給与バンドを調べてみて下さい。
自社や他社の給与バンドって調べられるの?
給与バンドは従業員向けには公開している会社も多くあります。特に日系企業上場大手は組合との関係を重視し、給与査定の透明性担保のために従業員向けに公開している場合があります。
他社の場合は基本的に給与バンドを入手することは不可能です。しかし、目的はあくまでも『給与水準を把握する』ことなので、給与バンドそのものを入手する必要はありません。以下に紹介する方法を用いれば、ある程度予測値をリサーチすることは可能です。
- 求人サイトで掲載年収やモデル年収を調べる
自社サイトやリクナビ等の求人サイトで人材募集をしている会社であれば、募集人材の給与レンジを掲載していることが多いです。求職者の参考のためですが、経験年数や募集ポジションによる想定年収が分かります。
また、会社紹介の一環として、入社後のモデル年収を紹介している場合もあります。これらを上手くリサーチ出来れば、「入社何年後」や「課長職/部長職」の給与水準が予測可能です。会社の直接情報になるので、信頼性も高いです。 - 口コミサイトでモデル年収を調べる
「会社名 年収」で検索してみる方法です。大手企業であれば、割と多くの口コミ情報が見つかります。勤続年数、職種、年齢、役職等の情報が載っているサイトもありますので、上手く見つかればおおよその給与水準を把握することが出来ます。 - IRを調べる(上場会社のみ)
IR (Investor Relations) とは株主や投資家向け情報のことで、上場会社は公開義務があるので通常は自社サイトに専用ページを持っています。有価証券報告書では会社の平均年収と平均年齢の記載義務がありますので、平均のみですが給与水準の把握が可能です。
特に同業界で平均年収を比較して、高い会社を志望する等の使い方が出来ます。なお、報酬が1億円を超える役員の開示も義務付けられていますので、その人数が多い会社は最大賃金の天井が高く、給与制度が実力主義寄りと言えるでしょう。(給与1億円は別世界ですね・・・) - 採用面接で直接聞いてみる
採用面接を受ける機会があれば直接聞いてみる方法もあります。採用側としても長期雇用を期待していますので、長期キャリアプランを見据えた勤続年数や役職のモデル年収についての質問であれば、そこまでマイナスイメージにはなりません。
転職してから給与水準の低さに後悔するぐらいであれば、事前に確認した方が安心です。実際、私もキャリア採用面接で何度か聞かれたことがあります。会社によっては公開していないという理由で断られる可能性もありますが、気になる様ならダメ元で聞いてみましょう。
給与バンド水準の傾向
上で紹介した方法により気になる会社の給与水準は予測出来ますが、そもそも給与バンドには一定の傾向があります。その傾向を利用することにより、給与水準の高い会社を目指すことも可能です。
- 業種
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人材採用のためには競合他社と似た給与水準でなければ求職者が集まりませんので、業種毎に給与水準の偏りがあります。下記表は厚生労働省の賃金構造基本統計調査(令和4年)を基にtypeが纏めたものになります。
引用:【2023年平均年収データ】職種・業種・都道府県別ランキング|type
一番平均年収が高いのは「電気・ガス・熱供給・水道業」、一番平均年収が低いのは「宿泊業、飲食サービス業」です。本表で平均年収が高い業種の方が、高い給与バンド設定となっていることが予想出来ます。
- 職種(総合職/一般職)
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職種にはまず大きく分けて「総合職」と「一般職」の違いがある会社があります。総合職とは異動に制限がなく、能力に応じたキャリアプランによって昇進を目指していくことが通常です。比して、一般職とは引越しを伴う異動が制限されており、昇進スピードや給与体系も総合職より低く設定されていることが一般的です。そのため、入社試験や業務内容も総合職より簡易になっている会社が多いです。
給与バンドとしては総合職の方が高くなりますので、年収アップのためには総合職を狙っていきましょう。会社によっては一般職での就職後に職種変更試験や上司推進により総合職登用されることもありますが、通常は狭き門になります。
- 職種(職能)
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職種(職能)とは会社の中の部署のイメージになります。例えば以下の通りです。
給与バンドは全職能統一されている会社が多いかと思いますので、年収だけ考慮するのであれば特に職能を意識する必要はありません。メーカーの場合は、直接製造者のみ給与バンドが低く別設定されている場合がありますので、注意して下さい。
昇進のためには通常は一つの職能を極めていくことになります。昇進により権限が拡大し、複数の職能を担当することもあります。ポイントは「自分に合った職能を選ぶこと」と「他業種で通用するかどうか」です。
例えば転職時に職能を変更しようとすると未経験と見做され給与評価が低くなりますので、一貫したキャリアを積んでいくためにも初めの職能選びは慎重に実施しましょう。
また、製品に深く関わる職能(営業、技術、製造等)は商品知識がスキルの一つとなるため、他業種への転職が難しい場合があります。上記記載の通り業種による平均年収の違いもありますので、将来的に異なる業種への挑戦も検討する場合は、他業種でも通用するスキルを習得出来る職能がお勧めです。
あさひ私は経理職能が長いですが、経理はIFRS(国際会計基準)という国際規格があるため、どこの会社に行っても比較的勤務しやすいのが強みです。
- 企業規模
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企業規模別の平均賃金についても厚生労働省の賃金構造基本統計調査に載っています。
男女計 大企業
(1,000人~)中企業
(100~999人)小企業
(10~99人)平均年収 418万円 364万円 341万円 ※平均年収算出方法:賃金×12ヵ月 会社規模は大きくなる程に平均年収がアップしますので、給与バンド水準も高くなることが想定出来ます。大企業と小企業では年間77万円の差となりますので、年間貯金額の差と考えると大きな違いです。年収アップを図るのであれば、大企業を狙っていきましょう。
- 地域
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地域によっても賃金差があります。下記表も同様に厚生労働省の賃金構造基本統計調査(令和4年)をtypeが纏めたものです。(月額賃金「円単位」)
引用:【2023年平均年収データ】職種・業種・都道府県別ランキング|type
全国平均は311,800円ですが、平均を上回っている都道府県は下記5つのみです。
なお、下記がワースト3です。
結果、東京が2位に約4万円/月の差をつけて1位です(年収では約48万円)。ワースト1位の青森とは月収約13万円、年収約153万円の大差です。
私の転職経験からも給与待遇の良い会社は東京に集中しています。人材採用する会社の立場としても優秀な人材が採用し易い東京に進出する傾向がありますし、他社の給与水準に合わせるために求人給与も高く設定せざるを得なくなります。
地域として東京が給与バンド水準が一番高いことは間違いありませんので、年収を上げることと周りの優秀な人材に学ぶためにも、東京就職を検討することをお勧めします。
あさひ私は東京勤務経験はないですし、在職中の沖縄企業(外資)も年収1,000万を超えているので、傾向が絶対ではありません。
最後に
私がそうであった様に就職活動中は1社からの内定を得るのに必死になるものと思います。給与バンド水準が高く、年収が出来るだけ多く貰えそうな会社に就職する様な余裕はなかったのではないでしょうか。
一方、本稿記載の内容を就職活動前に知っていたら、全く同じ会社のみにエントリーしていたでしょうか。更に大学進学前に知っていたら、全く同じ進路を辿っていたでしょうか。もしかしたら、違う人生となっていた可能性もあるのではないでしょうか。
本ブログで推奨している1億円達成と年収最大化は残念ながら簡単なこととは言えません。だからこそ準備期間と実行期間は長ければ長い程有利です。本稿の内容があなたやあなたの知り合いの進路や就職企業、ひいてはより良い人生の一助になりますと幸いです。
勿論、就職済、中堅やベテランの方にとっても遅いということは全くありません。本稿の内容を活用して転職やキャリアップに成功すれば、年収アップの実現は可能です。『より良い人生』に向けて全ての読者を応援しています。
下記の記事で私のキャリアを紹介していますので、良かったら参考にしてみて下さい。